AIメイクアプリに送った自撮り写真はどうなるのか
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多くの生成系メイクアプリでは自撮り写真がスマートフォンの外に送られるが、それが安全かどうかは、ほとんどのプライバシーポリシーが答えていない4つの問いで決まる。
多くの生成系メイクアプリでは、あなたが撮った写真はスマートフォンの外に出る。アップロードされ、そのモデルを動かす会社に渡され、メイクを施され、送り返され、どこかに保存されたまま、何かが削除するまでそこに残る。それが安全かどうかは、アプリが答えているか答えていないかのどちらかしかない4つの問いで決まる。写真は端末の外に出るのか、誰がそれに触れるのか、モデルの学習に使われるのか、そしてどれくらいの期間保存されるのか。
この分野のプライバシーポリシーが4つ全部に答えていることはめったにない。その沈黙こそ、読む価値のある部分だ。
一枚の写真がたどる道のり
順番に6つの段階がある。ポリシーはそのどれについて沈黙していても、文面上は安心できるように読めてしまう。
- 撮影。 あなたが自撮りをするか、カメラロールから一枚選ぶと、その時点ではあなたのスマートフォンの中だけにあり、コピーを持っている人は誰もいない。ファイルには撮影時刻、端末の機種名、場合によってはあなたが立っていた場所のGPS座標も含まれている。これはOSとアプリの受け取り方次第で変わる。
- アップロード。 生成系のトライオンはその写真をサーバーに送る。写真のようにリアルなメイクを顔に描き込むモデルは、スマートフォン上ではなくサーバー上で動いているからだ。端末上で完結するARフィルターはこの段階を持たない。ここが一番大きな分かれ目になる。
- 提供元。 あなたがインストールしたアプリの会社が、そのモデルを動かしている会社とは限らない。むしろ多くの場合、アプリはあなたの写真を推論を担う別の会社に渡し、その前段階で顔検出サービスにも通していることがある。ひとつのルックが仕上がるまでの短い時間に、複数の会社があなたの写真に触れることもある。
- 返却。 二枚目の写真が返ってくる。それはあなたの顔から派生したものなので、GDPR(EU一般データ保護規則)の個人データの定義のもとでは元の写真と同じくあなたの個人データであり、保存に関する同じルールが適用される。
- 保管。 アップロードされた写真、返ってきたルック、途中で計算された顔のテンプレートは、それぞれ別物であり、保存期間もそれぞれ異なる。保存期間を明記しているポリシーでも、その一つにしか言及していないことが多い。
- 削除。 何かがスケジュールに沿ってファイルを削除しなければならず、バックアップも対象に含まれる。「削除をリクエストできます」と「7日以内に消去します」はまったく別の約束だ。前者は順番待ちの列、後者は時計だ。
意外に思われがちなのは3番目の段階だ。2026年8月22日時点で確認したところ、「virtual makeup try on」でのGoogle検索結果の上位10件はすべてブランド自身のトライオンページで、Maybellineが2件、続いてUrban Decay、Ulta GlamLab、Chanel、NYX、Jane Iredale、Too Faced、L'Oreal Paris、MACが並んでいたが、そのすべてがPerfect CorpかModiFaceのどちらかのバックエンド上で動いていた。ページに載っているロゴの会社と、あなたの顔を実際に扱っている会社は別だということだ。つまり読むべきポリシーは二つあり、二つ目の方が見つけにくい。
4つの問い
写真は端末の外に出るのか
まずこれを確認する。写真がスマートフォンの外に出ないなら、残り三つの問いはほとんど意味を持たなくなる。端末上のARフィルターは顔を追跡して映像フレームに色を重ねるだけで、そのフレームがネットワークに触れることはない。生成系のトライオンはクラウド上でレンダリングするので写真は送信され、どれだけ善意でつくられていてもその事実は変わらない。
端末処理には漏れる元手そのものがない。サーバー上に何も残っていないからだ。ただし完成した写真のようなルックは作れないので、この二つは同じことをする別のやり方ではない。自分の顔に完成したルックを見たいなら、あなたはアップロードしていることになる。残る問いはアプリがその後何をするかだけで、どちらの方式かを教えないアプリは、実はもうその答えを出している。
写真は誰の手に渡るのか
カテゴリーではなく名前を求めるべきだ。「信頼できる第三者のサービス提供者とデータを共有する場合があります」というのは定型文で、実質は何も約束していない。提供先を名前で列挙し、その会社がアプリの指示に従ってのみ動き、あなたの画像を自分たちの目的には使わないと明記しているポリシーは、あとで確認できることを教えてくれている。そう書いていないポリシーは「共有は起きる」ということしか教えてくれない。
AIメイクアプリは写真をモデルの学習に使うのか
共有とは別の問題で、アプリがもっとも答えをはぐらかす問いだ。学習利用への同意は、プライバシーポリシーではなく利用規約の中の、幅広いコンテンツライセンス条項を通じて、知らないうちに自分で与えてしまっていることが多い。文面はたいてい「サービス改善のために、あなたがアップロードしたコンテンツを複製・改変できる、世界規模で無償のライセンス」という形をしている。ポリシーだけでなく規約も読むべきだ。こうしたライセンスがあり、それを狭める文言がどこにもなければ、プライバシーページが何と書いていようと、あなたの顔は学習データそのものになっている。
AIメイクアプリは写真をどれくらい保存するのか
数字と、その数字が起点にしているきっかけの両方を探す。「必要な期間保存します」のような、きっかけのない数字は保存期間とは呼べない。役に立つ約束は両方を名指しする。「削除リクエストから7日以内に消去」「最後の利用から24か月後」のような形だ。
4つの問いを、アプリの種類ごとに見る
| 問い | 端末上のARフィルター | クラウド型の生成系トライオン | 自分で確かめる方法 |
|---|---|---|---|
| 写真は端末の外に出るか | たいてい出ない。フレームは端末内で処理される | 出る。レンダリングはサーバー上で行われる | フィルターを起動してから機内モードにする。それでも顔を追い続けるなら、その部分は端末内で処理されている |
| 誰の手に渡るか | 多くの場合誰の手にも渡らないが、アナリティクスがイベントを送っていることはある | 推論を担う会社、場合によってはその前段の顔検出サービス | 「第三者」ではなく、名前が挙がった処理事業者を探す |
| モデルの学習に使われるか | ほぼ関係ない。集めるものがそもそも存在しない | 提供元との契約次第 | 利用規約で「license」「licence」「improve」を検索する |
| どれくらい保存されるか | 動画を自分で保存しない限り、保存されるものはない | アップロード、生成されたルック、顔のテンプレートがそれぞれ別の保存期間を持つことがある | ポリシー内で日数や月数の記載を検索する |
App Storeのプライバシーラベルは答えというよりスタート地点だ。これは開発者自身がAppleの定めたカテゴリーに沿って記入するもので、Appleが尋ねているデータの種類には、何をどれくらいの期間保存するかという項目そのものが含まれていない。
Looksmithが答えていること
LooksmithはMirable Labs, Inc.によるiOSアプリで、まもなく公開予定だ。Mirable Labsはプライバシーポリシーを/privacyに、生体情報の保存期間に関するスケジュールを/retentionに、すでに公開している。この保存期間のスケジュールはドラフトとして公開されていて、まだ発効していないと明記されている。これは、対象のアプリより先にポリシーだけを書いた場合の正直な状態だ。以下はそれらの文書に実際に書かれている内容で、強めの表現に言い換えず、そのまま説明している。
| 問い | Looksmithの文書が述べていること |
|---|---|
| 写真は端末の外に出るか | 出る。Looksmithは端末上ではなくサーバー上でレンダリングし、アプリ内の同意画面にもその通り明記されている |
| 誰の手に渡るか | 書面契約のもとで処理者として動く提供元に渡る。彼らが自分たちの目的であなたの画像を使うことは禁じられている。現時点でプライバシーポリシーは提供元をカテゴリーで示しており、名前では列挙していない |
| モデルの学習に使われるか | 使われない。保存期間のポリシーは、Looksmithとその提供元がいずれも、顔データをモデルの学習・微調整・ベンチマーク・改善のいずれにも使うことを禁じている |
| どれくらい保存されるか | Looksmithはあなたが削除するまでLikeness(あなたの顔データ)を保持し、最後の利用から24か月後を上限として顔データを消去する |
Looksmithは写真をモデルの学習に使っているのか
使っていない。Looksmithの保存期間ポリシーは、Looksmith自身にも、いかなる提供元にも、顔データをモデルの学習・微調整・評価・ベンチマーク・その他の改善に使うことを禁じている、と明記している。
このページ自身が示した問いをLooksmithにも当ててみると、一つだけ浮かび上がる点がある。/termsにあるLooksmithの利用規約には、「あなたのためにサービスを運用・改善する目的に厳密に限り」あなたの入力データをホスト・保存・複製・改変できるという、世界規模で無償のコンテンツライセンスが確かに存在する。これはまさに、上の問いが探すべきだと言っている条項の形そのものだ。ここでそれを狭めているのは、モデルの学習を明文で禁じている保存期間ポリシーと、コンテンツを削除すればそのライセンスも終了するという事実だ。両方を読んで、どちらか一方ではなく組み合わせで判断してほしい。
Looksmithは顔を生体情報として処理する前に、別途書面での同意を求める。この同意はアカウント作成の手続きに紛れ込ませず、独立した画面で提示され、後から撤回もできる。アカウント作成、マーケティング、生体情報処理をまとめて一つのチェックボックスで済ませるのは、アプリを入れるかどうかの決定にすぎない。それはあなたの顔についての決定ではない。
Looksmithは自撮り写真をどれくらい保存するのか
Looksmithはあなたの自撮り写真をLikenessとして保持する。Likenessとは、ルックを生成するたびに使い回せる、あなた専用の写真セットのことで、これによって毎回アップロードし直す必要がなくなる。あなたがアカウントに残している限り、Likenessは残り続ける。これが唯一持続するものだ。
削除のトリガーが発生すると、保存されているコピーは7日以内に消去される。Looksmithが設ける上限は、最後の利用から24か月後、または収集の目的がそれより前に達成された場合はそれ以前だ。この上限は顔データにのみ適用される。アカウント情報、税務記録、診断ログはこれとは別のスケジュールに従い、それはプライバシーポリシーの中で個別に定められている。/retentionにある保存期間ポリシーは、顔データの保存期間についてだけを一箇所にまとめた場所で、これによって文書間で数字がずれることを防いでいる。
Looksmithのアカウントと写真はどう削除するのか
Looksmithが公開されたら、アカウントの削除は「設定」から「アカウント」に進む形になり、これによってLooksmithアカウント、Likeness、保存したルック、Bagがすべて削除される。顔データだけを削除したい場合は別の操作で、「設定」から「My Likeness」、そして「削除」に進む。これは、Looksmithが生体情報の同意をアカウント作成とは別の独立した画面で取っているためだ。
5分でポリシーを読む方法
プライバシーポリシーと利用規約を並べて開き、両方で「日」「月」「学習」「license」という4つの語を検索する。「licence」でも検索しておくといい。イギリス式の綴りで書かれた文書はそう表記していることがある。この検索で何も具体的なものが出てこなければ、冒頭で「プライバシーを大切にしています」とどれだけ書いてあっても、そのアプリは4つの問いに答えていないということだ。
もう二つ、確認する価値のある手がかりがある。委託先の処理事業者を名前で公開しているポリシーは、避けようと思えば避けられた義務をあえて引き受けている。そして更新日が最近であれば、少なくとも誰かがアプリの最終変更より後にその文書を開いたということはわかる。
これらは、アプリの出来が良いかどうかとは何も関係ない。安全性と品質は別の話で、アプリはそのどちらか一方だけを欠くこともある。それでも4つの検索は5分もかからない。多くの人はどの自撮り写真をアップロードするか選ぶだけで、それより長い時間を使っている。